正義の味方

第3話   さらば、正義の味方。





「ただいま〜」
ここは、ある女性の家。そう、悪党と正義の味方を二回ダウンさせた、あの女性の家だ。どうやら、彼氏が家に入っていると思っているらしく、明かりのついたワンルームに入った。
「やっと帰ってきたか、暴力女」
「おかえり〜」
それを出迎えた、二人の男。もちろん、彼氏ではない。そう、悪党と正義の味方だ。
「何であんたらがここにいるのよ。それより、不法侵入で訴えるわよ」
「まあまあ、落ち着いて」
宥めようとしたのは、正義の味方。悪党は、人の家にあったお菓子をボリボリ食べている。
「まあまあ、じゃないわよ。どこから入ってきたのよ?それより、どうやってここを調べたのよ?」
「それは全部、悪党がやったことで…」
「そ、俺がやった。ピッキングで玄関から入った。さすがに、どうやって調べたかは企業秘密だな」
「正義の味方は、そのとき何をしてたの?」
「ずっと隣にいたぜ」
「お、おい……。そのことは黙っててくれって…」
「へぇ、正義の味方なのに、悪党がやっていることを止めないんだ」
女性の顔が、微笑みに変わる。ただし、殺気を強烈に発しつつ。そして、拳骨で頭を一撃。ついでに、悪党にもその一撃を見舞う。
「で、何の用よ?」
「あ、ああ。実は、俺たちそろそろ普通の生活に戻らなきゃいけないから」
「だから、最後に挨拶に来ただけです」
「普通の生活ぅ?あんたたちにも、普通の生活があるんだ」
「あるに決まってんじゃん」
「有給を使って、こういうことをするのが私たちの趣味ですから」
「はた迷惑な趣味ね」
「まさか、殴られるとは思ってなかったぜ」
「元はといえば、貴様が…」
「何だ、喧嘩を売ってるのか?」
喧嘩になる前に、二人には拳骨が降り注いだ。
「人の家で喧嘩するな。で、話はそれだけ?」
「まあ、一応」
「なら、さっさと帰って。彼氏が来るから」
「まだ、これ食い終わってないんだけど」
「さ・っ・さ・と・か・え・れ」
「わ、分かりました」
「お邪魔しました〜」

「ホントに邪魔なやつらね。さ、料理作らなきゃ♪」

暗い寒空の下には、悪党と正義の味方が仲良く家路に。





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