ストーカー





私の片思いは、もうかれこれ3年になる。
一目惚れだった。雷が落ちたような感覚。
私のよく会う人の一人だけど、二人きりで会ったことは残念ながらまだない。
彼は、よく一緒に遊ぶ仲間の一人だから。
よく会っているのに、言い出せない。
よく会っているからこそ、言い出せない。
どうやら私って、自分からは告白できないタイプみたい。
今まで付き合った男は何人もいたけど、みんな告白されて付き合ったから。
自分から告白しようと思ったことなんて、一度もなかったの。
私って、結構モテるから。

今日は、みんなで一緒に遊ぶ約束がある日。
待ち合わせ場所に行くと、彼がいた。
「みんな都合悪くなって、俺たちだけだって」
もう、舞い上がりそうだった。
彼と一緒に食事をした。ワインも飲んだ。
少し酔ったら、何故か今なら言えそうな気がした。
だから、思い切って告白してみた。
「ごめん」
彼の返事に、私の頭は真っ白になった。
私は、店を飛び出した。
彼が何か言った気がしたけど、よく聞こえなかった。
私は走った。どこかを走った。
どう走ったか分からないうちに、家に着いた。
冷静でないまま、シャワーを浴びてベッドに入った。

あれから何日か、何週間か、過ぎただろう。
私は、ずっとベッドの中にいた。
泣き疲れて、ふと冷静になった。
きっと彼は、他に好きな人がいるのかもしれない。
だから、私は断られた。
でも、私は今でも彼が好きだ。
彼が好きなら、彼の傍にいられないのなら、彼の幸せを願うべきだ。
私は考えた。どうすれば彼を幸せにできるか。
そして、私は思い付いた。
彼の迷惑にならぬよう陰から彼を見守り、彼の幸せを脅かそうとするものを排除しようと。
だけど、ストーカーと一緒にしてもらってはいけない。彼らとは、目的が違うのだから。
そうと決まれば、早速行動しなければ。
目立たない服を着て。双眼鏡を用意して。
彼のマンションへ行った。
時間の感覚がなかったせいで分からなかったが、現在は午後9時。
彼の部屋は、まだ暗い。
私は屋上へと上がり、双眼鏡でマンションの入り口を見る。
彼の帰りを待たなければ。

ああ、彼の部屋に誰がいるのか分かるように盗聴器を買わなきゃ。
ああ、取り付けるためには家に入らないといけないからピッキングの道具を買わなきゃ。
小型カメラも、必要かしら。
すべては、彼を守るために……。





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